歯のクリーニング・メインテナンス

歯を1本でも多く、少しでも長持ちさせることは、お口の健康だけでなく、全身の健康を守り、健康寿命の延伸にもつながります。歯を失わないようにするためにはそもそも悪くならないように予防していくことが大切だということが、近年、少しずつ浸透してきました。また、お口の健康は全身の健康に密接な関わりがあることもわかってきました。このような背景もあり、定期的に歯科医院で行う「歯のクリーニング」「定期メインテナンス」を受ける方が増加してきています。

予防を始めましょう

PRESIDENT 2012年11月12日号 ~ 55~74歳の男女1000人に緊急アンケート ・・・ 「リタイア前にやるべきだった……」後悔トップ20【2】健康

健康について後悔していることの第1位は、「歯の定期検診を受ければよかった」でした。

各国の残存歯数比較

日本人の残存歯数を見ると、近年、その本数は増加傾向にありますが、スウェーデンなどの歯科医療先進国と比較するとまだその差に開きがあります。中高年以降になると、急速に歯を失っていく傾向があります。日本では「歯医者は歯が痛くなってから行くところ」という考え方が根強く残っていますが、欧米の歯科医療先進国では「歯医者は痛くならないよう予防で通うところ」といった意識や習慣が強くあるようです。このように高齢になってからの残存歯数は、予防意識の違い、メインテナンス受診率の違いが関係しているといえます。

定期メインテナンスの効果

スウェーデンのアクセルソン教授は歯科における予防の第一人者ですが、30年間の長期臨床研究により、メインテナンスを継続することで「97.7%」の歯を残すことが可能であることを発表しました。定期的に正しいメインテナンスを受けることは、大切な歯を守ることにつながるのです。

定期メインテナンスの間隔

メインテナンスは、3~4か月に1回程度の間隔で受けることが理想的です。歯周病菌は除去後12~16週で元の状態に戻るため、歯周病菌の量が増えてお口の中に悪影響を与え始める前に、歯科医院に行きメインテナンスを受ける必要があるのです。

パウダークリーニング

当院ではスイス製の「ペリオフロー」というシステムを導入しています。ガリガリと歯石除去をするイメージとは違って、特殊なパウダーを吹き付けてジェットクリーニングを行うことができる機器です。バイオフィルムと呼ばれる口腔内の細菌が生み出すネバネバとしたしつこい膜状のもは、薬では除去が難しいため、機械的に除去する必要があります。

ペリオフローでは、このバイオフィルムを効率的に除去可能です。パウダーを吹き付けるジェットクリーニングで、象牙質、セメント質、エナメル質、歯肉など、歯科組織に対する侵襲性を抑え、組織を健康に保つことが可能となります。

歯肉縁下の歯石除去が可能

「ペリオフロー」は先端部分の形状がエアフローとは異なり、ポケットの深さがわかる目盛り付きのペリオフローノズルとなっています。歯茎に隠れている見えていない部分(歯肉縁下)に使用するタイプです。

ペリオフローでは、歯肉縁下4mmから9mmまでの歯周ポケット内にあるバイオフィルムの除去が可能です。

ペリオフローでは、天然歯の深いポケット、歯の根の分岐部分、インプラントのメインテナンスなどに使用することが可能です。

施術の流れ

①診査

まずは、歯周ポケットの深さの測定と、歯肉炎・歯周炎の有無、歯肉の状態(色、腫れ、出血など)の診査を行います。インプラントのある場合には粘膜炎、インプラント周囲炎の有無なども確認します。

②染め出し

専用の染め出し剤を塗布して、バイオフィルムや歯垢を染め出して可視化します。患者様にも確認いただきます。

③情報提供

現在の口腔内の状態についてや、お一人おことりに合ったオーダーメイドの予防プラグラムについてのお話をさせていただきます

④歯肉縁上のバイオフィルム除去

まずは歯肉縁上のバイオフィルム、ステイン、早期歯石を除去していきます。

⑤歯肉縁下のバイオフィルム除去

ペリオフローによって歯肉縁下のバイオフィルムなどを除去します。

⑥残った歯石の除去

残った歯石を除去していきます。

⑥確認

バイオフィルムや歯石が残っていないかどうかを最終チェックし、同時にむし歯の有無を診断します。最後にフッ素を塗布します。

PMTCについて

歯科医院で受けるプロフェッショナルケア

PMTCとは、プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニングのことで、歯科医師や歯科衛生士が、専用の器具を使用し、隅々まで徹底的に行う歯のクリーニングのことです。かつてスウェーデンでは、日本と同じく、むし歯や歯周病が爆発的に多く、国民の多くがたくさんの歯を失っていましたが、政府が予防を徹底的に推進し、国民のほとんどがPMTCを定期的に受け、むし歯や歯周病で歯を失う人が激減し、現在では多くの歯を維持できるようになっています。

PMTCで行うこと

①歯石の除去

歯石がある場合は、スケーラーという器具を使用してスケーリング(歯石除去)を行います。

②染め出し

染め出し液を使用して、プラークを染め出し、磨き残しになっている箇所を確認します。

③歯面清掃

専用の器具と研磨剤を使用して、歯の表面をつるつるに磨いていきます。

④フッ素塗布

磨き上げた歯面にフッ素を塗ります。