むし歯治療への取り組み
当院では歯医者が苦手な方への配慮に取り組んでいます。歯医者というと連想するのは「むし歯を削ってどうなるか不安」「キーンという音が嫌」「痛いのではないか」など、ネガティブな想像をしがちな方も少なくないはず。そこで当院では、そのようなイメージや過去の体験を払拭するためにいくつもの取り組みを行っています。「できるだけ削らない治療」「音への配慮」「表面麻酔で痛みに配慮」などがあります。
歯を少しでも長持ちさせるために
削った歯は二度と再生しない
むし歯の部分を除去し、進行を止めるためには歯は削る必要がありますが、一度削った歯は二度と再生しません。そこで歯の形を整えるために、保険治療では金属やプラスチック、保険外の治療ではセラミックなどの人工物を詰めたり被せたりして形を整え、かみ合わせを回復します。しかし、再治療を繰り返すと、残っている天然の歯の部分はどんどんなくなっていってしまい、最終的には抜歯となってしまいます。
歯の寿命は50~65年
歯の寿命を少しでも延ばすためにも、むし歯はしっかり除去しつつも、天然の歯の部分を余計に削るようなことは避けたいものです。厚生労働省の調査によると、歯の平均寿命は約50~65年。 奥歯は前歯よりも10年以上も早く失われます。さらに神経を取ってしまった歯は、栄養を届けられずにもろくなることなどから、その寿命はさらに10年短くなるといわれています。これらのことから、「なるべく削らない」「なるべく神経を取らない」治療を行うことも歯を長持ちさせるためには大切な要素です。
できるだけ削らない治療
高倍率ルーペ
「高倍率ルーペ」を使用することで肉眼では見えにくい部分まで精密に見ながら治療することが可能となります。高倍率ルーペは、むし歯の部分だけを除去し、できる限り天然の歯を残すには必須ともいえます。
う蝕検知液
通常、むし歯の感染部分は目視で完全に判断することは難しいため、経験や勘も総動員しながら軟らかくなった部分を削っていきます。しかし、その方法では健康な歯質を削りすぎてしまったり、むし歯の取り残しが起きるリスクも高くなってしまいます。当院では「う蝕検知液」を使用しています。う蝕検知液は、むし歯の感染部分だけを染め出してくれるため、むし歯の部分を目視しながら、より精密な治療を行うことができるようになります。
コンポジットレジン
コンポジットレジン(CR)は、むし歯治療で歯を削った部分を埋めるために使用します。ペースト状のコンポジットレジン(CR)をむし歯を削った穴に盛り付けて、特殊な光を当てて硬化させ、形を整えます。インレー(詰め物)の場合には、詰め物を歯にはめ込むために必要な形に削る必要がありますが、コンポジットレジン(CR)はペースト状のため、盛り付ける側の形を大きく削る必要はありません。
MTAセメント
これまで、抜髄しなければならなかった歯でも、最近では残せる治療法が登場しました。むし歯が進行したところまでの組織を取り除いた後、「MTAセメント」によって蓋をすることで、神経を保存します。全てのケースで必ず神経を保存できるというわけではありませんが、歯の神経を残せる可能性がある治療です。
音への配慮
「キィーン!」という歯を削る音は歯科医院に行きたくない理由として少なくありません。当院では「キィーン!」という歯を削る音が怖い!苦手!という方のために、削る音の小さい機器をご用意しました。
歯を削る器具には、大きく「エアータービンハンドピース(タービン)」「コントラアングルハンドピース(コントラ)」があります。タービンはエアーといって圧縮した空気によって高速回転を生み出します。この仕組みが「キィーン!」という歯を削る音につながります。
それに対してコントラは内部にマイクロモーター(エンジン)を内蔵していて、電動で回転を生み出します。モーターのため、「キィーン!」という音がありませんので患者様側としてはストレスの軽減につながります。
当院ではより高性能の「5倍速コントラ」も導入しています。
可能な限り痛みに配慮した治療
歯医者で治療を受けたくない理由に、痛い思いをするのではないかということがあると思います。たしかに以前のむし歯治療では痛みが伴うことが多かったようです。しかし、現在は以前とは状況も変わってきているといえます。もちろんある程度の痛みを伴うようなことも絶対にないとはいえませんが、できるだけ痛みを抑える治療が可能になってきています。
表面麻酔の使用
事前に歯ぐきの麻酔をする部位に「表面麻酔」を塗布します。歯ぐきの表面の感覚を無くすことで、麻酔時の針のチクッとした刺激を軽減するためのものです。
麻酔液の温度管理
事前に麻酔液を温め、人肌と同じ温度にします。このことによって違和感が少ない状態で麻酔液を歯ぐきに注入することが可能となります。
極細の針を選択
当院では極細の針を利用しています。極細の針を使用することで、麻酔時の痛みを低減します。
電動麻酔器
余計な圧力がかかることで人は痛みを感じやすくなります。そのため当院では電動麻酔器を使用して、麻酔液をゆっくりと一定の速度で機械制御で注入します。
むし歯の進行と治療方法
C0:初期のむし歯
歯に穴はあいていない。エナメル質表面のつやがなくなり、白く濁ったり薄茶色になったりしている。自覚症状はほとんどなし。
フッ素により再石灰化を促進させることで健康な歯の状態に戻すことも可能です。
C1:エナメル質のむし歯
エナメル質が溶け出して少し穴が開いたむし歯です。穴が開いた部分の歯は黄褐色や黒褐色に見えます。多少しみることはあってもまだ痛みはありません。
むし歯の部分を削り、コンポジットレジン(CR)や、インレー(詰め物)をします。
C2:象牙質まで進行したむし歯
象牙質まで進んだむし歯。 冷たい飲食物がしみることがあります。
むし歯の部分を削り、コンポジットレジン(CR)や、インレー(詰め物)をします。状態によっては被せ物を作って被せます。
C3:歯髄まで進行したむし歯
むし歯が歯髄(歯の神経にある部分)まで進んでいる状態。激しい痛みを感じることが多くなります。放置すると神経が死んでしまい、痛みがなくなることがあります。
歯髄を取り除き、歯の根の治療を行ない土台(支台)を作ります。その後、被せ物(クラウン)を作って被せます。
C4:歯根だけ残ったむし歯
歯冠部がほとんど崩壊し、歯根だけ残った状態です。歯髄が死んでしまい、痛みがなくなる場合があります。歯根の先に膿が溜まると激しい痛みが起こり全身の健康を害することにもなります。
基本は抜歯して、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどの治療に移行します。
このページのコンテンツ